断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「ねぇ健太? いる?」

 声をかけながら中に入った。部屋と言っても居間と寝室とクローゼットに分かれてるから、奥の寝室でもう寝ちゃってるのかも。

(ん? 寝室も電気ついてるっぽいな)

 ドアの隙間から明かりが漏れてるし。

「ごめんね健太。返事なかったから勝手に入ってきちゃった」
「あ、華子先輩。おじゃましてまぁす」

 固まって、思わずごしごしと目をこすった。
 健太のベッドの上で、雑誌を広げたユイナが寝そべっている。しかもお菓子を食べ散らかしてるし。

「は? ユイナ? なんであなたがここに……?」
「ゆいなた~ん、お・ま・た・せ! コック叩き起こして美味しいケーキ焼いてもらったよん!」
「わぁ~い、けんたんありがとうっ。ゆいな、かんげきっ」

 振り向くと、ホールケーキを大皿に乗せた健太が満面の笑みで立っていた。

「あれ? 姉ちゃん来てたんだ」
「あれ、じゃないわぃ、このボケ茄子(ナス)がっ」
「やだぁ、華子先輩こわぁい」

 健太の胸ぐらをつかむと、落ちそうになったケーキがお皿ごと宙に浮かんだ。そのままフワフワ(ただよ)って、ユイナの手の上に着地する。

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