断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「ゆいなはさ、このゲームの世界で無限ループのハマってたらしくて」
「無限ループ? 死に戻りってヤツ?」
「違います。エンディングを迎えると、一瞬でゲームのオープニングに戻っちゃうんです」

 なんと。
 いくら好きなゲームでも、それが自分の現実となったらさすがにキツイだろうな。

「初めはようやくゲームが始まったって、気軽な気持ちでループも楽しんでたんですけど……」
「ようやく? ってことは長谷川は生まれたときから前世の記憶があったってこと?」
「途中で思い出したって感じです。小さいときに馬車にひかれそうになって、その時に」

 ゲーム設定ではそんときにヒロインが魔法に目覚めるんだったっけか。それで強大な魔力を見出されて男爵家の養女になるんだよね。

「わたし、下町生まれで家もすごく貧乏で。だから記憶を思い出したときは超ラッキーって思いました。だけど……」

 そこまで言って長谷川は次の言葉をつまらせた。
 健太も気づかわし気に長谷川の手を握ったりして。いつもの計算にしては、今にもマジ泣きしそうな顔してる。

「ゆいな、無理しなくていい。あとは俺が話すよ」
「ううん、自分で話す。その方が先輩たちも納得してくれると思うから」

 心を決めたように、長谷川はぽつりぽつりと続きを語り始めた。
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