断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「学園祭で劇を行っている最中にもその不可解な現象はやってきた。それに(あらが)うために、愚かにもわたしはハナコを利用してしまったのだ……」

 空を見上げ、山田は後悔をにじませる。

「偽りの感情に、ハナコへの想いを(けが)されるのがどうしても許せなかった。だがハナコを傷つけなければ守れない想いなど、ただの自己満足にすぎないのだと……今回の件でわたしは思い知らされた」

 そこで言葉を切った山田。
 こぶしをきつく握りしめて、真剣な顔を向けてきた。

「すべてはわたしの弱さが原因だ。許せなどと言える立場ではないのは分かっている。だがハナコ、もう一度だけわたしにチャンスをくれないか?」

 どうしてそこまでして山田はハナコに固執するんだろう。初恋って言ったって、小さいときの話だし。
 初めて手に入らなかったモノだから、物珍しくて躍起(やっき)になってるだけなんじゃないの?

「わたくしには理解できません。なぜそのようにシュン様がわたくしばかりに(こだわ)るのかを……」
「おかしな話に聞こえるかもしれないが。幼いころ、初めてハナコを目にしたときに、胸の奥から懐かしさが込み上げてきて……ああ、ようやく会えたんだと。どうしてだかわたしはそんなふうに思ったのだ」

 懐かしくてようやく会えたって、それって既視感(デジャヴ)みたいなやつってこと?

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