断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 なにあの余裕。顔がいいだけに文句も言いづらいのがちょっとムカつく。ロレンツォ自身もそれが分かっててやってるっぽいし。
 やっぱ性格悪いとしか言いようがないって感じ。

 屋敷に帰ってから健太にロレンツォのこと相談したんだけど。
 ロレンツォルートは攻略してないから、対策は良く分かんないって言われちゃった。なんでもこのルートでは、悪役令嬢ハナコの出番は本来ないらしい。
 未希も忙しいって言ってたしな。ここは自力で乗り切るしかないか。

 てなわけで、翌日は放課後を待たずに保健室に避難した。体調不良を言い訳にすれば、ロレンツォを待ってなくても角は立たないだろうしね。

「今日の茶うけはどら焼きですじゃ。ハナコ嬢も遠慮せずに食べてくだされ」
「ありがとうございます、先生。今日はほうじ茶ですのね」

 保健医のヨボじいが理事長のリュシアン様ってことは、みんなには内緒ってお願いされたんだ。だからここで会うときは前と変わらず接してる。

「どら焼きにはこの取り合わせいちばんと思うておりましてな」
「確かに、ほうじ茶の香ばしさがあんこの甘さをより一層引き立てますわね」
「おお、さすがはハナコ嬢。よく分かっておられる」

 リュシアン様とはこまめに会って、もっと味方になってもらおうって下心もあったんだけど。
 普通に茶飲み友達って感じで、話しててなんだかたのしいかも。

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