断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「おーい、じっちゃん。俺腹へっちゃって。なんか食いもんないか?」

 ガラッとドアが開いたと思ったら、腹ぺこマサトが登場した。
 ってか、じっちゃんだなんて気安く呼んだりしてさ。この方は理事長な上、元国王のリュシアン様よ?
 事実を知ったら、いくらマサトでも超ビビるだろうな。

「なんだ、ハナコもいたのか。なんかいいもん食ってるな」
「ちょっとマサト!」

 リュシアン様の了承も得ずに、並べられたどら焼きを次から次に頬張っていく。

「かっかっか、いつ見ても見事な食べっぷり。まだ箱に入っておりますゆえ、好きなだけ食べてゆきなされ」
「サンキューじっちゃん!」

 だからじっちゃんじゃないってば。

「ハナコ、今から帰るんだろ? 馬車まで送っていくぞ」
「あら、ありがとう。じゃあそうしてもらおうかしら」

 いつもだったら断るとこだけど。
 今日はロレンツォの件があるからね。マサトでも魔除け代わりくらいにはなってくれるかも。

 リュシアン様に別れを告げて、マサトと一緒に廊下を進む。

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