断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 っていうか山田、どさくさにまぎれて握った手を指でもてあそぶなっ。
 ロレンツォも、なにひとの髪の毛いじって口元に持ってこうとしてんのよっ。

 山田が魔法でも使ったのか、急に吹いた風でわたしの髪がロレンツォの指からするっと抜け出した。負けじとロレンツォがわたしの指に指を絡ませて、さらに山田もわたしの手を強くにぎりしめてくる。

 その間わたしは何もできずに、前を見てるしかなかった。 
 ってか、その正面でゆいなと健太がイチャコラあーんとか繰り広げてんですけどっ。
 リュシアン様はリュシアン様で、若いっていいのぅみたいな目をしてるし、マサトは相変わらずハムスターのまんまだし。

 くそぉうっ、どいつもこいつも役立たずかよっ。
 うわ、なんか山田とロレンツォがバチバチにらみ合ってるし。ビジュアルじゃロレンツォ優勢だけど、性格を思うと瓶底眼鏡の方がまだマシって感じだし。
 なんて思ってるそばから、またロレンツォが髪をいじりだしてるぅ。

「失礼」

 わたしとロレンツォの間に、にゅっと長い腕が延びてきて。ティーカップを置いた手が、上手いことロレンツォのことを遠ざけてくれた。
 おお、ダンジュウロウ君、きみの存在すっかり忘れていたよ!

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