断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「昨日はすまないことをした。ハナコにいやな思いをさせてしまって……」

 ()び入れるくらいなら、初めからやるなって感じだし。
 それに、さ。

「謝れば済むと思っておいでですの?」
「いや、決してそういったつもりは……」

 貴族としては、これまで通り礼節を保つけど。
 リュシアン様の前でした約束は、また別次元の話なわけで。
 この件に関してだけは二度と妥協しないって決めたんだ。どんなに同情を誘われたって、絶対引いてやるもんか。

「わたくし、シュン様には失望いたしました。あれほど適切な距離を保つよう、再三にわたりお伝えいたしましたのに」
「茶会でハナコの手を握った件か? あれはエスコートであって不適切な行為では……」
「席に着くまででしたらそう言えますわね」

 すん、と冷ややかな視線を向けると、山田は一瞬言葉を詰まらせた。

「……すまない。ロレンツォに負けたくなくてつい」

 つい、じゃないわよ。
 王子の立場で素直に謝罪できるのは、山田のすごいところだって思うけど。だからと言って頭下げればいいってことでもないし。

「今度こそこの胸に刻みつけよう。だからまだ答えを出すのは待ってくれないか?」
「ええ、もちろんですわ」

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