断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 にっこりして頷いたら、山田ってばあからさまにほっとした顔した。
 言っとくけど、昨日の件でイエローカード二枚になったからね? 次何かやらかしたら、卒業待たずに見捨てるつもり。

「時間だ。もう行かねばな」

 残念そうに立ち上がった山田。無意識のように、指がわたしの頬に延ばされて。
 はっとして、山田はその手を引っ込めた。

「なぜなのだろうな……ハナコのことになると、どうしても冷静な判断ができなくなる」

 そんな深いため息とともに言われても。
 むしろこっちが聞きたいくらいだよ。

「今日はハナコの顔が見られてうれしかった。学園でまた会おう」

 それだけ言い残すと、山田は転移魔法を使ってぱっと目の前からいなくなった。

「姉上、シュン王子はもう帰ったの?」
「ええ、お忙しい合間を抜けていらしてたみたい」

 週明けには学園で会えるんだから、何をそこまでって思っちゃう。卒業まで時間がなくて山田も必死なんだろうけど。

< 298 / 413 >

この作品をシェア

pagetop