断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 一瞬遅れて廊下の窓が砕け散った。
 ガラスの破片が降り注ぐ中、山田にぎゅっと抱きしめられる。

 廊下を跳ねて転がるボール。体育の授業で野球でもやってたのかな。割れた窓の外から、なんだか騒ぐ声が聞こえてくるし。

「ハナコ、怪我はないか?」
「はい、シュン様のお陰で大丈夫ですわ」
「すまない、とっさのことで庇いきれなかった」

 ガラスをかぶっているのはほぼ山田だ。それもほとんど魔法で弾いたみたい。

「シュン王子、お怪我は!?」
「うむ、わたしは問題ない。ダンジュウロウ、すぐに窓の修復の手配を頼む」
「お任せを」

 あれ、いつの間にダンジュウロウが。
 っていうか生徒会のメンバー、全員そろってるし。

「マサトは事情聴取を」
「了解、王子」

 言うなりマサトは窓から外へ飛び出した。
 ってか、ここ二階っ。

「ユイナは破片を回収してくれ」
「はぁい。ぜぇ~んぶ、こっちにあつまれ~」

 ゆいなが両手を広げると、飛び散ったガラスが一か所に引き寄せられてくる。
 こういうとき魔法ってホント便利だよね。

「シュン王子、俺は何をすれば?」
「ケンタはロレンツォを保健室に連れて行ってくれ」
「俺はいい」
「念のためだ。ケンタ、頼む」
「承知しました。ではロレンツォ様、失礼します」

 ロレンツォの手を取った健太。そのままふたりはぱっとかき消えて。

「ハナコも行こう」

 どこに?
 って聞く前に、気づくともう保健室の中にいた。
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