断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 なんて驚愕の出来事があった週末。
 リュシアン様にお呼ばれして、学園の理事長室にある転移サークル経由でお城にやってきた。
 正面玄関から訪問すると、警備の関係上、奥に通されるまで半日がかりになっちゃうからね。茶飲み友達のよしみで、特別待遇してもらってる。

「リュシアン様、本日はお招きありがとうございます」
「うむ、待っておったぞ、ハナコ嬢」

 とは言え、周りには近衛兵とかも控えてるから、普段みたいに気さくにはおしゃべりしたらマズイよね。
 いくら仲良くしてもらってるからって、お城ではきちんと王族と公爵令嬢として接しないと。

「休日に呼び出してすまんの。最近はあまり保健室に来てくれなんだから、わしもさびしくてな」
「申し訳ございません。わたくし少々卒業があやうくて、無理を言って補習を受けさせて頂いているんですの」
「それならいっそ留年して、もう一年学生生活をたのしんだらよかろうに」
「もう、リュシアン様ったら。そんなわけには参りませんわ」
「かっかっか、いい考えだと思ったんだがのぅ。その方がわしもハナコ嬢と気軽に茶を飲めるというものじゃ」

 気負ってたわたしとは正反対に、リュシアン様はいつもと変わらない笑顔を向けてくれて。おかげでちょっと緊張が解れてきたって感じ。
 あ、そうだ。ちょうどいいから留学のこと、リュシアン様に相談してみようかな?

「リュシアン様、実はわたくしロレンツォ様に……」

 卒業したらイタリーノ留学に誘われてることを話したら、リュシアン様、ちょっと考え込んで。

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