断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「権力でわたくしの行動を妨げるとおっしゃいますの?」
「国の情勢を見て当然の措置(そち)だ」
「ではシュン様はあの日にわたくしとした約束を反故(ほご)になさると言うのですね?」
「そう思われても仕方がないが……それでも今回ばかりは、わたしは絶対に折れる気はない」
「分かりました。それではわたくし、今日をもってシュン様にお別れを申し上げますわ」

 レッドカードで、ゲームオーバー。
 無理強いしてくるなら、卒業を待たずに見限らせてもらうから。

 キッと睨みつけても、山田ってば動揺ひとつ見せなくて。
 なんか拍子抜け。ゆいなに好感度カンストしてるって言われたけど、案外そうでもなかったんじゃ?

「とにかくわたくしはイタリーノに行かせていただきます」
「ダメだと言った」
「リュシアン様には許可をいただきました。王子のお立場だからと言って、シュン様にわたくしを止める権利はないはずですわ」

 つんと顔を逸らして背を向けると、山田は手首を取ってきた。
 無理やり正面を向かされる。
 勝手に触ってんじゃないわよ。もうお終いだって言ったでしょう?

「命令だ。絶対に出国はさせない」
「横暴ですわ。リュシアン様も何かおっしゃってくださいませ」
「うぅむ。確かにイタリーノ国とは現在微妙な関係にあるからのぅ」
「ですがここ百年、国家間は良好だと」
「少々問題が生じておってな。ゆえにわしも同行しようと思ったのじゃが……」

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