断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 リュシアン様に聞いたら、魔法さえ使えば何飛ばしても構わないって。もちろん刃物とかはダメって言われちゃったけど。
 硬くしたティッシュとは言え、わたしの魔力じゃ殺傷能力は皆無(かいむ)だし。せいぜい当たったところが赤くなる程度だよね。
 山田は多少痛い思いするかもしれないけど、そこはご愛敬(あいきょう)ってことで許してもらおうっと。

 とにかく、あとは練習あるのみ!
 勝負までまだ時間があるから、魔法学の先生の力も借りてギリギリまで技を極めないと。

 そしていよいよ約束の日がやってきて。
 場所はお城の庭園。観客はビスキュイ一匹。レフェリーはもちろんリュシアン様で。

 邪魔が入らないよう、リュシアン様が庭一帯に結界魔法を作ってくれた。
 空調は山田が担当。
 なにせ寒空の下の決闘だからね。試合中も魔法使って快適空間を維持するらしい。
 これもハンデのひとつって、リュシアン様が決めたみたい。

「では始める前に、ルールを確認しておこうかの」

 山田とわたしが無言で向き合う中、リュシアン様の落ち着いた声が響き渡る。

「まず使っていいのは魔法のみ。先に相手の両ひざを地面につけた方が勝者じゃ。よいな?」

 問いかけにわたしと山田がうなずき返す。

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