断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 山田の奇行に驚いて、入り口でおろおろするメイドが見えた。
 目くばせで何とかしろと訴えるが、青い顔を横にぶんぶんと大きく振られてしまった。

 王子相手に強気に出られないのは分かるけどぉ。
 このまま行くと、あなたの大事なお嬢様の首が胴体から離れますのことよ!

「ハナコ姉上、どうかした?」
「ケンタ!」

 寝室にいる山田を見て、ケンタの顔が険しくなった。
 うわ、弟がこんなに頼もしく見えたことはない。許す、このまま山田をや~っておしまい!

「ケンタか。邪魔しているぞ」
「シュン王子、姉に気を配ってくださってありがとうございます」
「何、ハナコのためだ。気にするな」

 いや、全力で気にしろ。お願い、ケンタ引かないで!

「ありがたいお言葉。ですが王子がいては姉も緊張して眠ることが出来ないでしょう。ゆっくりと休ませるためにも今日のところはお引き取りくださいますか?」
「うむ、それなら仕方あるまい」

 ナイスケンタ! 姉思いに育ってくれて、姉ちゃんとってもうれしいよ。

「王子、エントランスまでお見送りいたします」
「ああ。ではハナコ、来週また見舞いに来るからな」

 来んでいい!

 山田が去って、ようやくひと息ついた。

 今回の「魔力はポンコツ作戦」、結果は……見事惨敗。

 もう、ふて寝するっ。


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