断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 パニくって、死にもの狂いでティッシュ玉を投げ続けた。
 どこにボールが当たろうと、山田は避けようともしてこない。
 すでに魔力は尽きかけてたけど、散乱するボールをコントロールもへったくれもなく、投げて投げて投げて。

 運よく当たったそのひとつが、山田の眼鏡を半分ずらした。
 はっとして、一点に集中し狙いを定める。
 真っすぐ飛んだティッシュ玉が、見事瓶底眼鏡を跳ね飛ばした。

(当たった!)

 山田の視力はものすごく悪いはず。これで巻き返しができるかも……!

 触手の束縛が一瞬ゆるむ。
 振りほどこうとしたその瞬間、ふたたび触手がからみついてきた。

「あきらめるんだ、ハナコ」

 裸眼の山田は、明後日(あさって)の方向を極道顔でにらみつけている。
 それでも触手は外れない。その間にも地面はますます近づいて。

(山田のバカバカバカっ)

 半泣きでティッシュ玉をぶつけまくる。やけくそで顔面に集中砲火。このまま敗北するだなんて、あんまりにも悔しすぎるっ。

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