断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 いや、そっちは植木だから。相変わらず視力悪すぎ。
 ってか、久しぶりに目にした山田の素顔。やっぱりものすっごく怖いって感じ。
 決闘の最中はそれどころじゃなかったけど、改めて見ると足がすくむレベルかも。

 山田がこっちを振り向いて、さっと顔をそらしてしまった。
 だって本当に怖いんだもんっ。親の(かたき)と出会ったみたいに、眼光鋭くにらんでくるし。

「ハナコ、怪我はないか?」

 気づけば目の前に山田が立っていて。
 仕方なく顔を上げると、いつもの瓶底眼鏡に戻ってた。
 今までさんざバカにしてきてなんだけど、見慣れた山田にほっとしてる自分がいたりして。

「わたくしは大丈夫です。少々魔力切れは起こしておりますが」

 やだわたし、芝生にへたり込んだままだった!
 あわてて立とうとしたら、山田が手を差し伸べてきて。なのに何かためらうように、その手は途中で引っ込められた。

「無理はするな、ハナコ」

 見えない何かがわたしを包んで、ふわっと宙に持ち上げられる。
 遠くにあった椅子がこっちに引き寄せられて、そこにやさしく降ろされた。

「落ち着くまでしばらく休むといい」
「お気遣いありがとうございます、シュン様」

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