断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「よくないよ! だってわたし、山田のコトもう振っちゃったんだもん!」
「そんなの撤回すりゃいいでしょ? やっぱりあなたが好きですで済む話じゃない」
「だけどリュシアン様の前で決闘までしたんだよ? 留学だって話進んじゃってるし、あれ以来、山田の態度もそっけないし」

 えぐえぐしながら訴えてたら、未希ってば呆れた顔を返してきた。
 こっちは必死なんだよ! こんなこと未希にしか相談できないし。
 あー、興奮し過ぎてなんだか酸欠になってきた。

「いいからちょっと落ち着きなさい。まったく、恋はひとを愚かにするって言うけど……まさかあんたがその典型になるとはね」
「恋? 恋ってなによ」
「シュン王子が好きなんでしょう?」
「山田なんか好きじゃないよ。好きなのは山田の素顔」
「華子、あんた自分でなに言ってるのか分かってんの?」

 だから呆れたため息つかないでっ。

「いいじゃない、別に旅行も留学も行って来れば。『帰ってくるまで待ってて』って言えば、王子もよろこんで首を縦に振るでしょ」
「でももう山田、わたしのことなんて好きじゃないかもしれないし……」
「そんなの聞いてみなきゃ分かんないでしょーが」
「だけど山田もすっぱりわたしをあきらめるって言ってたし……」
「あーじゃあ、華子も王子をあきらめて新しい恋でも探したら?」
「だから恋なんかじゃないってば!」
「だったらなんだっつうのよ。もう、めんどくさいわね」

 やだっ、見捨てないでっ。
 未希だけが頼りなのっ。

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