断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 未希はジュリエッタの兄を陰で操り、薄い本を印刷するための印刷所まで立ち上げた。
 表ではまっとうな印刷物を請け負って、陰ではひと様には見せられないものを製造しているそうだ。いつか摘発されないことを祈ってる。

(内容はあえて聞くまい)

 前世で山田と弟健太の薄い本を見せられた時には、しばらく健太の顔がまともに見られなかった思い出。

 遠い目をしながら、わたしは寝室に担ぎ込まれた。
 仕方ないので、しばらくはおとなしく寝込むことにした。

 だるいし体痛いし頭痛もひどくなってきてる。

 そのまま熱が下がらない日が何日か続いた。

 メイドが世話をしてくれるけど、交代制で事務的に介護をするだけだ。
 これは記憶を取り戻す前のハナコの言動のせいもあるんだけどね。

 使用人なんて人とも思ってないフシが、以前のハナコ(わたし)にはあったから。

(うう、このままじゃ本当に断罪コースだよ……)

 こうして華子として覚醒したけど、悪役令嬢的な振る舞いをしてきたハナコの影響はまだまだいっぱい残ってる。

 未希が言ってたんだけど、「ゲームの強制力」ってもんが発動することがあるって話だ。
 しつこいくらいにわたしにぐいぐい来る山田だけど、いつユイナに心を奪われてもおかしくないんだって。

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