断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 いまイタリーノ大使がヤーマダ国に来てるから、人質のロレンツォは入れ替わりで帰国が許されたみたい。
 久しぶりに故郷に帰れるんだもんね。
 仕方ない、ちょっとくらい大目にみてやるか。

「かっかっか、ロレンツォ王子の言う通りだわい。我が国も魔法と科学の融合を推し進めておるゆえ、今後に期待と言ったところじゃな」

 おお、さすがリュシアン様。王者の余裕って感じ。
 しかも元国王らしくセンスのいい服を着こなしてるから、誰も保健医だって気づいてないし。
 普段はヨレヨレ白衣のヨボじいだもんね。わたしだってここまで仲良くならなければ、正体を見破れなかったかも。

「ハナコ嬢、あれを見るといい」

 リュシアン様が指さした先に、ホログラムで大型ビジョンが浮かび上がっている。
 まるでテレビ画面みたいにどこかの街並みが映し出されていた。足を止めた多くの人も、物珍しそうに見上げてる。

「あれこそイタリーノ国の技術を盛り込んだ、最新の遠隔映像転送魔法じゃ」
「遠くの景色を魔法で映し出しているのですか? では、あれはリアル中継ですの?」
「さすがはハナコ嬢、察しが良いな。まだ試作段階ゆえ、一般家庭に普及するのは先の話になりそうじゃが」

 映像が切り替わって、野外のステージが映し出された。
 あ、これユイナが警備しに行ってる国の式典だ。確かイタリーノ国との国交回復百周年を祝う慶典(けいてん)だったはず。
 よくよく見ると、壇上でスピーチしてるのはイタリーノ大使っぽい。王族代表で山田も出席してるみたいだし。

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