断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「リュシアン様は出られなくてよかったのですか?」
「表舞台からは引退した身ゆえな。それにここだけの話、わしはイタリーノ国内の情勢調査担当じゃ」

 ロレンツォに聞こえないように、こそっと耳打ちされる。
 いたずらっぽい顔で、リュシアン様はこっちにウィンクを飛ばしてきた。

「イタリーノに行く口実としてはナイスタイミングじゃったぞ、ハナコ嬢」
「まぁ、リュシアン様。またわたくしをダシにお使いになられたのね?」
「ハナコ嬢がシュンとの勝負に勝たなんだら、ここまでするつもりはなかったんだがの」

 おかしいと思ったんだよ。いくら公爵家といえ、貴族令嬢の旅行に元国王が付き添うなんてさ。
 そんな裏があったんだったら、あっさり話が通ったのもうなずけるって感じだし。

(でも国交回復の式典してるわりには、相手国の内情調査が必要だなんて……)

 不穏な臭いがプンプンじゃない?

 画面に目を戻すと、ちょうど山田と大使が握手をしている場面が映し出されていた。
 音声も流れてるのか、聴衆の拍手がここにまで響いてくる。

 表向きは良好な関係そうに見えるけど。
 イタリーノ国とはちょっと問題が生じてるって、前にリュシアン様も言ってたっけ。
 実情は意外と難しい状況にあるのかも?

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