断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ちらっとロレンツォをうかがうと、食い入るように画面を見つめていた。
 怖いくらい真剣な横顔に、いやな予感が湧き上がる。

(山田、大丈夫だよね……?)

 未希が言ってたロレンツォルート。
 その結末(エンド)が頭をよぎって。

 和やかに見える式典の中、イタリーノ大使だけが不自然にピリピリしてる。それが画面越しにも伝わってきた。
 未希から聞いた話だと、ゲームではあの大使の銃弾で山田は命を落とすらしい。

 だけど、シナリオ通りの展開でイタリーノに行くわけでもないし、そもそも悪役令嬢のわたしにロレンツォルートなんて関係ないし。

(うん、考えすぎ、考えすぎ)

 違和感にフタをして、とりま自分を納得させた。

「ハナコ、行くぞ。面倒事が起こる前にさっさと出国手続きを済ませるんだ」

 腕をつかまれて、強引に引っ張られる。
 ん? ロレンツォ、いまメンドウゴトって言わなかった?

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