断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 山田が撃たれて死んじゃうかもしれない。
 想像するだけで血の気が引いた。
 あの天使の笑顔に二度と会えなくなるんだ。

 取り越し苦労であとから笑われたっていい。だけどゲームシナリオはメチャクチャで、何が起きても不思議じゃない世界線だ。

(なんで進めないの……!)

 ステージはもうそこなのに。
 大使は山田のすぐとなりにいるっていうのに。

 くやしくて涙がにじむ。
 銃声が聞こえたらどうしよう。
 そのときはもう、きっと何もかもが手遅れだ。

 ――こんなところであきらめるの、ハナコ?

 頭の中で誰かの声が響いた。

 ――あなたのプライドはその程度なのかしら?

 いいえ、わたしは由緒ある公爵家に生まれ、貴族として英才教育を受けてきた誇り高き令嬢よ。
 あまり()めないでいただきたいわ!

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