断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 湧き上がった敵愾心(てきがいしん)に任せ、踏みしめる足に力を込めた。

「わたくしはハナコ・モッリ! モッリ公爵家の威光に逆らいたくなかったら、今すぐ道をお開けなさい!」

 張り上げた声に、目の前の人だかりがぱっかり割れた。
 背筋を伸ばし、一歩を踏み出す。キッと前を見すえると、人の道はさらに大きく広がった。

「おぉ~い、ハナコぉ? そっちにいるのかぁ?」

 ん? あの声はマサト?
 人の山の向こうでぴょんぴょん跳ねてる頭が見えてるし。

 マサトも進めなくて困ってるっぽい?
 ってか、あんた王子の護衛でしょうが。なんで肝心なときに山田のそばにいないのよ。

(まったく、世話の焼けるっ)

 ポケットを探ってヨレヨレになった短冊を取り出した。

「マサト、召喚っ!」

 (かか)げた札が輝いて、一瞬でマサトが目の前に現れた。
 この召喚札、持ち歩くのがクセになってたんだよね。我ながらGJ(グッジョブ)って感じだし。

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