断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 それじゃマサトが悪役っぽいぞ? おかげで進みやすくなったからいいんだけども。
 これで大使への嫌疑(けんぎ)が濡れ衣だったら大事(オオゴト)だな。万が一怒られる事態になったら、一緒に謝ってあげるからね!

 まだステージにいた山田は、報告を聞いてるのか誰かと話をしてる。

(やった、間に合った!)

 周囲に警備兵が立ちはだかっていたけど、マサトは顔パス。
 それに便乗してわたしもステージを駆け上がった。

 山田はこっちにまだ気づいてないみたい。
 横にいた大使は周囲を注意深く見回してる。その手があやしげに(ふところ)を探ってて。

 身構えたとき、取り出されたのは黒いハンカチだった。
 ほっとしたのもつかの間、大使の手元が変にキラッと反射した。

(なに……?)

 違和感に目を凝らす。
 大使の手にするハンカチが、なんだか不自然に盛り上がっているように見えて。

 それが拳銃の形なんだって気づくのに、そう時間はかからなかった。
< 371 / 413 >

この作品をシェア

pagetop