断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 思うよりも早く、ポケットからティッシュが一枚飛び出した。
 弾丸となったティッシュは一直線の軌道を(えが)き、目にも止まらぬ速さで大使の手首を跳ね上げた。
 ブレた銃口が同時に火を()き、銃弾は山田の頭すれすれをかすめていった。

「マサト!」
「おうよっ!」

 大使の手首をつかんだマサトが、見えない魔法の鎖を使って動けないよう捕縛する。

「離せ! わたしを誰だと思っているんだっ」
「ほざけっ、シュン王子の命を狙っておいて!」

 がんじがらめで膝をついた大使の手から、拳銃が床に転がり落ちた。
 わたし、山田を守れたんだ。
 ほっとしすぎて力が抜ける。
 瞬発的に魔法を使ったせいで、魔力切れを起こしてるのかも。

「ハナコ……!」

 ふらついた体を抱き留められて。

「シュン様……よかった……シュン様がご無事で……」
「ハナコ……」

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