断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 さすがの切れ者王子でも、状況がうまくのみ込めてないみたい。
 イタリーノに行ったはずのわたしが、なぜかこの場にいるんだもんね。

 あー、でも、なんだろう。
 驚き顔の瓶底眼鏡もすごく愛しく見えてきて。
 未希の言ってたように、これって恋だったりするのかな。

 この冴えない眼鏡の下にはね、誰も知らない天使が隠れてるんだ。
 考えるだけで顔がにやけちゃいそう。

 そのとき山田の後方に立つスーツの男と目が合った。
 あれはイタリーノ大使付きの護衛だったはず。いきなりの大使の暴挙を止められなくて、自信喪失しているんだろうか。
 でも、にしてはこっちをやたらとにらんでるような?

 違和感が確信に変わる前に、男の腕がゆっくりと前に延ばされた。
 手に握られていたのは拳銃で。
 その銃口はまっすぐに山田の背へと向けられていた。
 冷酷無比の表情で、ためらいもなく引き金の指に力がこもる。

「シュン様、危ない……!」

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