断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 わたしの叫びと銃声が重なって。
 とっさに山田を遠くへ突き飛ばした。

 不思議な話なんだけど、こういう瞬間って何もかもがゆっくりに見えるんだ。
 ド級のピンチを前に、冷静に観察してる自分がいたりして。

 山田の立ち位置と入れ替わったわたし。
 間違いなく心臓直撃。
 そんな軌道で弾丸が近づいて来る。

 大好きなひとを守れたんだもの。
 悪役令嬢に生まれたわりには、そう悪くない結末じゃない?

「なんて言うと思ったら大間違いですわっ」

 わたしは誇り高き公爵令嬢。
 こんなところでくたばってたまるもんですか!

(ノーイケメン・ノーライフ……!!)

 ありったけの魔力を解放して、転移魔法を発動させた。
 今こそ目覚めよ、わたしのチカラ!
 あのとき一回できたんだから、今だってできるに決まってる!

 特有の浮遊感に包まれて、すぐに足が地に着いた。
 瞬間、肩に衝撃を受けて――。

< 375 / 413 >

この作品をシェア

pagetop