断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
第72話 わたしだけの距離
ん? これってば年を取った山田かも?
その山田がベッドに横たわったわたしの手を握ってる。
山田の手はしわしわで、握られてるわたしもやせ細った感じのしわしわだった。
BGMみたいに、無機質な電子音がわたしの鼓動を伝えてて。
ここ、病院なのかな? 点滴の管が腕につながってるし。
おじいちゃんになった山田を見上げながら、わたしの口がひとりでに開いていく。
『わたし、先に逝くけれど……』
『いやだ、華子さん、俺を置いて逝かないで』
瓶底眼鏡の下から、透明なしずくがしたたり落ちてくる。
昔からそう。
山田ってば、ずっと泣き方変わらないね。
『この不思議な世界に来て、あなたと会えて……わたし本当にしあわせだったわ』
『そんなこと言わないで。これからもっともっとしあわせにするから』
『だったら、生まれ変わってもわたしを見つけて。わたし、あなたを待ってるから……』
ああ、そっか。
これは華子になったハナコの記憶なんだ。
階段から落ちて、入れ替わって、山田と恋に落ちて、ずっと人生を共にして。
日本で過ごしたハナコの記憶が、どんどん頭の中に流れ込んでくる。
その山田がベッドに横たわったわたしの手を握ってる。
山田の手はしわしわで、握られてるわたしもやせ細った感じのしわしわだった。
BGMみたいに、無機質な電子音がわたしの鼓動を伝えてて。
ここ、病院なのかな? 点滴の管が腕につながってるし。
おじいちゃんになった山田を見上げながら、わたしの口がひとりでに開いていく。
『わたし、先に逝くけれど……』
『いやだ、華子さん、俺を置いて逝かないで』
瓶底眼鏡の下から、透明なしずくがしたたり落ちてくる。
昔からそう。
山田ってば、ずっと泣き方変わらないね。
『この不思議な世界に来て、あなたと会えて……わたし本当にしあわせだったわ』
『そんなこと言わないで。これからもっともっとしあわせにするから』
『だったら、生まれ変わってもわたしを見つけて。わたし、あなたを待ってるから……』
ああ、そっか。
これは華子になったハナコの記憶なんだ。
階段から落ちて、入れ替わって、山田と恋に落ちて、ずっと人生を共にして。
日本で過ごしたハナコの記憶が、どんどん頭の中に流れ込んでくる。