断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 椅子に座った山田が、わたしの手を握ったままベッドに突っ伏して眠ってる。
 疲れてるのかな。
 起き上がったわたしにも気づかず寝入ってるし。

 ずれた眼鏡をそっと顔から抜き取った。
 すると天使の寝顔が現れて。

(ああ、やっぱり世界一のイケメンだわ)

 うっとりと、頬にかかる髪を指先で整えた。
 それでも山田は目覚めなくって。これは相当疲れているんだな。
 そんな中でも会いに来てくれたんだ。そう思うと、どうしようもなくうれしさがこみ上げてきた。

(そういや山田、おじいちゃんになっても瓶底眼鏡だったな)

 ということは前世の日本でも、山田の素顔を知るのはハナコ(わたし)だけだったってことだよね?

「ハナコ……?」

 あ、ごめん、起こしちゃった?
 やだっ、眠そうに目をこする顔も大天使級でマジ最高なんですけどっ。

「む、ハナコ。こんなに頬が冷たくなって」
「シュン様、そちらは花瓶ですわ」

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