断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「シュン様……わたくしはもうダメそうです……」
「何を言うのだ。大丈夫だ、ハナコ。わたしがついているぞ」
「いいえ、先日の怪我から随分と経つというのに、いまだ回復もできずこの(てい)たらく……このままでは学園に復帰することはおろか、ベッドから出ることも叶わないことでしょう」

 学園を休学してその流れで退学してしまえば、断罪イベントも起こりようがない。
 学園の図書館、好きだったんだけどなぁ。
 仕方ないけど、諦めるしかない。命あってのモノダネだ。

 それに病弱な令嬢なんて、王子の結婚相手にふさわしくないだろう。
 王妃には跡取りを設ける大役が待っているし、どう考えたって、健康でタフな令嬢の方がいいに決まってる。

「ああ、熱のせいで気が弱くなっているのだな。心配は無用だ。魔法医の見立てでは、あと数日もすれば回復する見込みだそうだ」
「ですが……」

 こうなったら熱が下がっても、仮病を続けるしかない。
 いつまで経っても回復しなければ、いくら山田でも見放してくるだろうし。

 それはともかく、いい加減手を撫でくり回すのはヤメロ。

「そうか、不安か。よし、熱が下がるまでの間、二十四時間三百六十五日、わたしがつきっっっっっきりで看病してやろう」

 なんか、っ、が多すぎない!?

 てゆうか、そんな長期戦に付き合ってられるか――――っ!


 この一時間後、気合いのみでわたしは一気に熱を平熱まで下げた。

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