断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 最近はハナコが愛の鼻ティッシュで止めてくれるのが、これがまたうれしすぎる。
 いやしかし、王子として入学式を血で染めるわけにはいかない。
 ご褒美は敢えてあとにとっておこうではないか。

「そうか。しかしハナコは無理しなくていいのだぞ? すべてこのわたしに任せておけばいい」
「あら、そういうわけには参りませんわ。せっかくの魔力を無駄にはしたくありませんもの」

 わたしを銃弾から守ったばかりに、ハナコは留年の憂き目にあってしまった。
 それなのになんと真摯で前向きな姿勢なのだろうか。

 ハナコ以上に未来の王妃にふさわしい女性など、どこを探してもいやしない。
 今すぐさらって城に閉じ込めてしまいたいが、そんなことをしたら今までの努力が水の泡になってしまう。

 本来、先月執り行われた卒業式で、わたしはハナコを婚約者として指名する手はずだった。
 フランク学園に入学した際に、わたしはおじい様と約束をふたつ交わしたのだ。

 ひとつめは生徒会に籍を置き、組織をまとめ人を動かすことを学ぶこと。
 ふたつめは卒業までに王妃候補の女性を探すこと。

 いろんな女生徒と分け隔てなく接し、できるだけ交友を広げるように。おじい様にはそう言われたが、初めからハナコしか目に入らなかった。
 それはそうだろう。ハナコはわたしの運命だ。出会う前からそう決まっていたとしか思えない。

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