断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
第三章 イベントは危険な香り

第11話 攻略対象をおさらいしよう

「ハナコ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、みなさん」
「お元気そうなお顔を拝見できて、わたくしたち本当にうれしいですわ」
「ええ、ありがとう。わたくしもこうしてみなさんと会えてうれしいわ」

 久々に学園に来て、次々に声を掛けられる。
 ここのところ華子意識でいたので、令嬢の所作がやたら窮屈なんだけど。

「下級生を庇ってお怪我をなさるなんて、さすがはハナコ様。ご勇敢でいらっしゃいますわ」
「お体よりも、お心の傷の回復にお時間がかかったとか。ほんとうに大変でしたわね」

 どこに行っても持ち上げられて、ハナコに気を遣いまくっているのがひしひしと伝わってくる。

 みんな立場を守るのに必死なんだろうな。
 在学中に有力貴族とのパイプを作ることも社交の一部。きっとそうやってみんな貴族社会を生きてるんだよね。

 公爵令嬢ハナコ・モッリは悪役令嬢の役どころだ。
 だからと言って積極的に誰かをいじめたりとかは、ひとつもしてこなかった。

 マナーがなってない相手には、手厳しく嫌味をお見舞いするくらいはしてきたけどさ。
 でもそれってむしろハナコの方が言い分は正しいってことで。

 断罪されるほど、悪いことはしてきたとは思えない。

(今は堂々とハナコとして過ごすしかないか……)

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