断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「ではシュン様、わたくしはこれで失礼いたしますわ。みなさん、行きましょう」

 取り巻き令嬢を引き連れて、さっさと山田から離れて行った。

 こういったとき、山田はしつこく絡んできたりしない。
 あっちも王子の立場をきちんと分かってはいるんだろう。

 そのかわり、ふたりきりのときは遠慮のえの字もないけどねっ。

「まぁ何ですの、あの態度。平民上がりの(いや)しい身分のくせに」
「それにハナコ様を差し置いて、シュン王子に馴れ馴れしくしたりして。ほんとみっともないわ」
「その上、ハナコ様に助けていただいたのに、礼の一言もないだなんて」

 まずいなこれは。
 このままでは気を利かせた取り巻きが、ユイナに何か嫌がらせをしかねない。

 以前のハナコなら「あんな()、どこかでみっともなく転べばいいのに」とか、わざとらしくそんな独り言を呟いただろう。

 でも陰でイビりでもしたら、ユイナの思う壺になりそうだ。
 直接わたしが手を下さなくっても、ハナコの指示でやられたと山田に泣きつくのが目に見えている。

「いいのよ、みなさん。あの()がわたくしを救ってくれたのは事実。そんなふうに言うものではないわ」

 ハナコらしくないセリフに、みんな戸惑ってるみたい。
 言葉の裏を読み取ろうとしてるのかな。
 いや、お願いだからそのままの意味で受け取ってっ。

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