断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「わたくし本当に心から感謝していてよ? それにあの()がシュン様と一緒にいるのは、次が魔法学の授業だからでしょう?」

 この国に魔法があると言っても、それぞれが持つ魔力はピンキリだ。
 山田やユイナみたいに優秀な者は、魔法学の特別なカリキュラムが組まれている。

 未希ことジュリエッタも、今ごろその授業に向かっているはずだ。
 ジュリエッタは特に回復系の魔法に長けていて、怪我した生徒をよく治してあげているみたいだった。

(おかげでひそかにファンクラブが作られてるって話だし……)

 未希ってば、昔からソトヅラだけはいいんだよね。
 あの仮面の下の毒舌を知ってるのは、ごく限られた身内だけだ。

「ハナコ様がそうおっしゃるのなら……」
「さすがはハナコ様、なんて寛大なお心をお持ちなのかしら!」
「なんてことはなくてよ。さ、この話はもうおしまい。遅れてはいけないわ、もう参りましょう」

 っていうことがあってね、と放課後未希に報告したんだけど。

「あんたバカ?」

 第一声がそれ!?

「わざわざユイナとやり合いに行くなんて、自滅しに行くようなモノじゃない」
「だって公爵令嬢としてのプライドが……」
「そんなもん忘れ物したとでも言って引き返せば済む話でしょう?」
「はっ、その手があったか」
「まったく、先が思いやられるわ。ギロチンとプライド、どっちが大事なの?」

 いや、どっちもいらないっす。

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