断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第13話 ダンジュウロウと図書館と

 人もまばらな廊下を進む。目指しているのは放課後の図書館だ。

 以前のハナコならまず近寄らない場所なので、取り巻き令嬢は連れずに毎回こっそり来てる。

 前はね、放課後に誰かしら捕まえて好き放題やってたんだ。
 用事を言いつけたり、おしゃべりに付き合わせたり。それこそ他人の都合なんてお構いなしって感じでさ。

 未希に言われたんだけど、ハナコのお()りは持ち回りでローテ組んでたんだって。
 気を遣ってよいしょして、取り巻きのみんなも毎日たいへんだったろうなぁ。
 そんな接待強いるだなんて、我ながらブラック企業かよ。

 今は日本海溝より深く反省してる。これからはスクールライフ謳歌(おうか)して!

(さぁて、今日はどんな本に巡り合えるかな)

 図書館は学園の外れにあるから、そこそこ歩かなきゃいけないのが難点だけど。

 紙のにおいとか、ちょっと乾燥気味なとことか、動かないしんとした空気感とか。
 あの独特の雰囲気が昔から好きなんだよね。人が少ないので落ち着けるしさ。

(げげっ、山田)

 ちょうど図書館から出てくる姿が見えて、気分が一気にダダ下がりした。しかも攻略対象をひとり引き連れてるし。

 あれは副会長のダンジュウロウ・ササーキだな。
 ユイナがいないのだけは不幸中の幸いかもだけど。

< 57 / 413 >

この作品をシェア

pagetop