断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 とりあえず柱の影にでも隠れてやり過ごすか。
 てか、いま山田の眼鏡がキラっと光ったような?

 ぎゃっ、なんかロックオンされたっぽい!

「ハナコ!」

 なんで一目散に駆け寄って来るかな。
 仮にもあんた、一国の王子でしょ?

「こんな外れにひとりで来たのか?」
「みなさんそれぞれ用事がありますもの」

 興味のない場所に付き合わせたらかわいそうじゃん。これからはみんなにも放課後をエンジョイしてもらわなきゃ。

「すぐ帰りますから問題ありませんわ」
「駄目だ。ハナコひとりでは危険すぎる」
「どうしてですの? 学園内のセキュリティは万全でございましょう?」

 いたるところに結界防御魔法が張り巡らされているし、そもそも図書館にはあんま人いないし。

「王子、そろそろ行きませんと」
「ううむ、だがハナコひとり置いていくのは……」

 おお、ダンジュウロウ君、ナイスアシスト。
 もう一押し、山田を連れてさっさと行ってくれたまえ。

「わたくしなら大丈夫ですわ。何度もひとりで来ておりますし、今まで特に何事もありませんでしたから」
「何度もひとりで? たまたまならまだしも……。よし、今後ここに来るときは必ずわたしが同伴しよう」
「そんな、お忙しいシュン様のお時間をいただくなんて……」

 ぐあっ、余計な口滑らせたっ。

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