断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 図書館に入って、お気に入りの一角を目指す。すぐによさげな本が見つかるといいんだけど。

 本棚を物色している間、ダンジュウロウはそばを離れずずっと近くにいた。
 わたしが移動すると、ダンジュウロウもついてくる。ほんとに生真面目な性格なんだな。

 ダンジュウロウってわたしと同じ公爵家の人間なんだけど、愛人の子供で家では肩身の狭い思いをしているみたい。

 兄とは差別されて育ってきて、どんなに頑張っても無視されたりとかいろいろ苦労してきたって話。

 んで反骨心で勉強頑張って首席で入学するはずが、王子の山田にあっさり敗北。
 山田が生まれつきの天才なら、ダンジュウロウは努力の天才って感じでね。

 王子のことは尊敬してるんだけど、万年二位の越えられない壁に苦悩していたり。

 あ、これ未希情報のゲーム設定ね。

 そんなコンプレックスありまくりの心の隙間を、ヒロインが埋めていくっていうのがダンジュウロウルートなんだけど。

 このルートの悪役はダンジュウロウ兄らしい。
 てなわけで、わたしはお呼びじゃないんだ。だから今も余裕でいられるってわけ。

(あっ、あの本いいかも)

 気になるタイトルを見つけ手を伸ばす。
 でも上の方にあってもうひと息届かなかった。

 移動はしごがついてるんだけど、長く並ぶ本棚のはるか向こうに鎮座してる。あれをここまで持ってくるだけでも、重労働って感じだ。
 魔力使えば動かせるけど、なにせわたしはティッシュ一枚が限界だからねっ。

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