断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「……また言いふらすのかよ?」
「言いふらす? 何を?」
「とぼけるんじゃねぇ。俺が虫嫌いなの、昔も笑いものにしただろうっ」

 ん? そういやそんなことあったっけかな。

 いい天気の日、庭でお茶会か何かしてたんだよね。
 大人たちのおしゃべりに飽きて、その場に居合わせた子供同士で遊んでたんだ。

 そんでそのときカマキリかなんかが飛び出してきて……そうそう、女の子がひとり泣き出したんだよ。

 当時から体力バカだったマサトは、子供たちの間でもちょっと頼れるお兄ちゃん的な存在でさ。
 助けを求めてみんなの目がマサトに向けられたのは、まぁ必然的な流れなわけで。

 でもマサトときたら、女の子以上にカマキリに怯えちゃってさ。
 それを見かねたわたしがサッとカマキリを追い払って、みんなから尊敬のまなざしを一身に受けて……。

 っていう感じの流れだっだような?
 ってか、やっぱりわたしのせいじゃないし。被害妄想もたいがいにせいっ。

「別に笑いものなんかにしてないでしょう?」
「あのときお前、高笑いしてたじゃねぇかっ」

 う、その笑い方、ハナコのゲーム仕様(デフォルト)だからっ。
 若気の至りな黒歴史であって、マサトを笑いものにしたわけじゃないんだよ。

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