クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
仕事中、雄也さんに引き留められてそう聞かれ、少し目線を下げ、少し迷ってから続けた。
「あの、柊梧さんはお元気なんでしょうか」
「元気のようだよ。それにしても、あいつ壊滅的に不器用だね……」
「そんなことないですよ。柊梧さん、器用だと思います。手技にも定評があるって小耳に挟みましたよ。それにお料理もお上手で、とってもおいしくて」
私の答えに、雄也さんはきょとんとしたあと破顔した。
「はは、あいつ頑張ったんだなあ」
「え?」
「いや、こっちの話……ところで海雪、新しい生活はどうだ?」
「マンションですか? とっても居心地いいです」
「そっか、よかった。気を遣わないでいいって、どうかな」
探るような視線に雄也さんの優しさを感じた。気を遣う、というのはお義母さんと愛菜さんに対してだろう。うまく返事できなくて曖昧に笑った。だって私は加害者なんだから、ふたりがいないことで精神的にかなり楽になったなんて、口に出すのは憚られた。
「あの、おふたりは元気ですか」
「元気だよ。相変わらず散財してる。夜もホスト三昧だし」
「ホスト?」
きょとんと聞き返すと、雄也さんはびっくりした顔で私を見返す。
「そうだよ。あの人が愛菜を連れ歩いてるの、大体都内のホストクラブ」
「知りませんでした……あの、お父さんは」
「知ってるよ。ただ、放任してる……というか、興味ないんだろう」
「……そうじゃなくて、お父さんは私の実母のことや私という存在に気が引けて、お義母さんの夜遊びを咎められないのかもしれません」
その夜遊びだって、夫の不義に対する寂しさから始まったものなのかも。
実母が、私が、高尾家を壊してしまったんだ。
そんな私を、お義母さんはよくも近くで育ててくれたと思う。
俯いた私に雄也さんは「違うよ」と穏やかに言った。
「あの人の男遊び癖は昔から。それこそ、独身の頃からだよ。祖父母が落ち着かせようと父さんと政略結婚させたんだけど、ダメだった。さすがに僕も愛菜も父さんの子なんだけどね、生まれてすぐに検査したそうだよ。それくらい母さんは信用されてない」
私は今日まで知らなかったことに驚きを隠せない。
「俺を産んだあとも、さんざん遊びまわって。それで父さんも」
「あの、柊梧さんはお元気なんでしょうか」
「元気のようだよ。それにしても、あいつ壊滅的に不器用だね……」
「そんなことないですよ。柊梧さん、器用だと思います。手技にも定評があるって小耳に挟みましたよ。それにお料理もお上手で、とってもおいしくて」
私の答えに、雄也さんはきょとんとしたあと破顔した。
「はは、あいつ頑張ったんだなあ」
「え?」
「いや、こっちの話……ところで海雪、新しい生活はどうだ?」
「マンションですか? とっても居心地いいです」
「そっか、よかった。気を遣わないでいいって、どうかな」
探るような視線に雄也さんの優しさを感じた。気を遣う、というのはお義母さんと愛菜さんに対してだろう。うまく返事できなくて曖昧に笑った。だって私は加害者なんだから、ふたりがいないことで精神的にかなり楽になったなんて、口に出すのは憚られた。
「あの、おふたりは元気ですか」
「元気だよ。相変わらず散財してる。夜もホスト三昧だし」
「ホスト?」
きょとんと聞き返すと、雄也さんはびっくりした顔で私を見返す。
「そうだよ。あの人が愛菜を連れ歩いてるの、大体都内のホストクラブ」
「知りませんでした……あの、お父さんは」
「知ってるよ。ただ、放任してる……というか、興味ないんだろう」
「……そうじゃなくて、お父さんは私の実母のことや私という存在に気が引けて、お義母さんの夜遊びを咎められないのかもしれません」
その夜遊びだって、夫の不義に対する寂しさから始まったものなのかも。
実母が、私が、高尾家を壊してしまったんだ。
そんな私を、お義母さんはよくも近くで育ててくれたと思う。
俯いた私に雄也さんは「違うよ」と穏やかに言った。
「あの人の男遊び癖は昔から。それこそ、独身の頃からだよ。祖父母が落ち着かせようと父さんと政略結婚させたんだけど、ダメだった。さすがに僕も愛菜も父さんの子なんだけどね、生まれてすぐに検査したそうだよ。それくらい母さんは信用されてない」
私は今日まで知らなかったことに驚きを隠せない。
「俺を産んだあとも、さんざん遊びまわって。それで父さんも」