クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
そうして高尾は俺をまっすぐに見る。
『天城会グループと、ウチの提携の話が出てる。これにかこつけて、どうか海雪と政略結婚してほしい』
『……どうして俺なんだ』
聞き返した俺に高尾は微かに笑う。
『だって君、海雪のこと、好きだろ』
一瞬息を詰めてから、大きく吐き出した。
『……どうして』
『大した用事でもないのに、わざわざ僕の部屋に来たり、かと思えば僕宛の書類をわざわざ海雪に渡したり。バレバレだろ』
つい目を逸らした俺に、高尾は言う。
『案外君って、恋愛は不器用なんだな。意外だ。高校のときだって、彼女途切れたことなかっただろ?』
『いや……不器用なつもりはなかったんだが』
言い淀む。好きすぎて動けない。うまく顔も見れない、素直に言葉にならない。子どもみたいだ、いや子ども以下だ。俺がこんなふうになるなんて。
苦笑する俺に、高尾は改めて表情を引き締めた。
『君になら海雪を任せられる。大切にしてくれる。本来ならば、海雪の気持ちも尊重すべきなんだろう。君たちのペースで距離を詰めて、気持ちが通じ合えば交際して、……でも時間がない』
『時間? まさか』
ハッとして高尾を見る。
『海雪さんと他の男との縁談が出ているのか』
高尾は頷き、それから『それもあるけど』と呟いてから続けた。
『海雪の精神状態が心配なんだよ。本人に自覚はないけれど、このところ慢性的な寝不足みたいで。そろそろどこぞに嫁がされそうだと気がついていたんだろうね』
『そうか……』
高尾は俺にばっと頭を下げた。
『天城。君が天城会グループと完全に絶縁しているのは知ってる。けれど、どうか、一度だけ。ほんの少しの間でいい、実家と復縁してくれないか……海雪を救い出したいんだ。頼む。礼ならなんでもする』
そう言って高尾は息を苦しげに吐く。
『あの子をあそこから連れ出すためには、政略結婚しかないんだ……』
うめくように言う高尾の下げられた頭を見つめる。
こいつの言うとおり、実家の……天城会グループの拝金主義としか思えない経営方針、また医療職にも関わらずそれに疑問すら抱かない実家の連中に辟易して高校卒業とともに家を出た。
すぐさま勘当されたものの、進学先の防衛医大は学費も生活費も国持ちだ。さらに給料まで出たため、困ることはなかった。
そこから一切連絡は取っていない。
『天城会グループと、ウチの提携の話が出てる。これにかこつけて、どうか海雪と政略結婚してほしい』
『……どうして俺なんだ』
聞き返した俺に高尾は微かに笑う。
『だって君、海雪のこと、好きだろ』
一瞬息を詰めてから、大きく吐き出した。
『……どうして』
『大した用事でもないのに、わざわざ僕の部屋に来たり、かと思えば僕宛の書類をわざわざ海雪に渡したり。バレバレだろ』
つい目を逸らした俺に、高尾は言う。
『案外君って、恋愛は不器用なんだな。意外だ。高校のときだって、彼女途切れたことなかっただろ?』
『いや……不器用なつもりはなかったんだが』
言い淀む。好きすぎて動けない。うまく顔も見れない、素直に言葉にならない。子どもみたいだ、いや子ども以下だ。俺がこんなふうになるなんて。
苦笑する俺に、高尾は改めて表情を引き締めた。
『君になら海雪を任せられる。大切にしてくれる。本来ならば、海雪の気持ちも尊重すべきなんだろう。君たちのペースで距離を詰めて、気持ちが通じ合えば交際して、……でも時間がない』
『時間? まさか』
ハッとして高尾を見る。
『海雪さんと他の男との縁談が出ているのか』
高尾は頷き、それから『それもあるけど』と呟いてから続けた。
『海雪の精神状態が心配なんだよ。本人に自覚はないけれど、このところ慢性的な寝不足みたいで。そろそろどこぞに嫁がされそうだと気がついていたんだろうね』
『そうか……』
高尾は俺にばっと頭を下げた。
『天城。君が天城会グループと完全に絶縁しているのは知ってる。けれど、どうか、一度だけ。ほんの少しの間でいい、実家と復縁してくれないか……海雪を救い出したいんだ。頼む。礼ならなんでもする』
そう言って高尾は息を苦しげに吐く。
『あの子をあそこから連れ出すためには、政略結婚しかないんだ……』
うめくように言う高尾の下げられた頭を見つめる。
こいつの言うとおり、実家の……天城会グループの拝金主義としか思えない経営方針、また医療職にも関わらずそれに疑問すら抱かない実家の連中に辟易して高校卒業とともに家を出た。
すぐさま勘当されたものの、進学先の防衛医大は学費も生活費も国持ちだ。さらに給料まで出たため、困ることはなかった。
そこから一切連絡は取っていない。