クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
『そうなんですか?』
『うん。だから、ひととなりは保証する。少し無愛想かもしれないけど、真面目なやつだし、腕のいい医者だ』
私はおずおずと頷いた。
天城柊梧先生は、私が秘書として勤務する病院に時折勤務している救急救命医だ。
まだ医師としては若手なのにかなりの技術もあり有能で、さらには眉目秀麗な見た目もあって院内では有名人だった。ただ、彼の本職は別にある。
海上自衛隊の医官……つまり自衛隊のドクターだ。
普段は基地の病院に勤務したり自衛隊の艦船に乗船したりなどして隊員の健康管理や急病などに対応し、ときには海外などの災害地に派遣されることもあるという。
そんな自衛隊の医官は技術研鑽のため、民間の病院でも救急救命センターなどにも派遣される。
自衛隊では通修というらしいのだけれど、その派遣先が雄也さんが副院長を務めるうちの病院なのだった。
『でも……なんで私が自衛官の天城先生と? 私って、その』
政略結婚の駒として引き取られたのですよね? とは雄也さんにはとても言えそうにない。義母や義妹にないがしろにされ嘲笑される私を、彼だけは辛そうに、ときに庇ってくれることさえあった。
もちろんそれは、母がしてしまったことに対する当然の罰なのだと理解はしていたけれど……それでも、雄也さんだけは私を人間として見ていてくれた気がする。気弱だけれど、そのぶん優しいひとなのだ。
実際、患者さんたちにも慕われている。口に出すのもおこがましいけれど、自慢の兄だと、そうこっそり思っている。
案の定、言葉を濁した私に雄也さんは悲しそうな視線を向ける。しかし切り替えたように微笑むと、『あいつは天城会病院の三男だよ』と教えてくれた。
『天城会病院!』
日本最大の医療法人だろう。国内どころかハワイにまで分院がある。そんな大きな病院のご子息だっただなんて。
『まったく知りませんでした』
『あいつ自身、そう表に出していないしな。本人は自分はいち自衛官だとしか思っていないだろう』
『でも、それなら……どうしてお見合いなんて』
『ああ』
雄也さんは小さく笑い、それから首を傾げた。
『うん。だから、ひととなりは保証する。少し無愛想かもしれないけど、真面目なやつだし、腕のいい医者だ』
私はおずおずと頷いた。
天城柊梧先生は、私が秘書として勤務する病院に時折勤務している救急救命医だ。
まだ医師としては若手なのにかなりの技術もあり有能で、さらには眉目秀麗な見た目もあって院内では有名人だった。ただ、彼の本職は別にある。
海上自衛隊の医官……つまり自衛隊のドクターだ。
普段は基地の病院に勤務したり自衛隊の艦船に乗船したりなどして隊員の健康管理や急病などに対応し、ときには海外などの災害地に派遣されることもあるという。
そんな自衛隊の医官は技術研鑽のため、民間の病院でも救急救命センターなどにも派遣される。
自衛隊では通修というらしいのだけれど、その派遣先が雄也さんが副院長を務めるうちの病院なのだった。
『でも……なんで私が自衛官の天城先生と? 私って、その』
政略結婚の駒として引き取られたのですよね? とは雄也さんにはとても言えそうにない。義母や義妹にないがしろにされ嘲笑される私を、彼だけは辛そうに、ときに庇ってくれることさえあった。
もちろんそれは、母がしてしまったことに対する当然の罰なのだと理解はしていたけれど……それでも、雄也さんだけは私を人間として見ていてくれた気がする。気弱だけれど、そのぶん優しいひとなのだ。
実際、患者さんたちにも慕われている。口に出すのもおこがましいけれど、自慢の兄だと、そうこっそり思っている。
案の定、言葉を濁した私に雄也さんは悲しそうな視線を向ける。しかし切り替えたように微笑むと、『あいつは天城会病院の三男だよ』と教えてくれた。
『天城会病院!』
日本最大の医療法人だろう。国内どころかハワイにまで分院がある。そんな大きな病院のご子息だっただなんて。
『まったく知りませんでした』
『あいつ自身、そう表に出していないしな。本人は自分はいち自衛官だとしか思っていないだろう』
『でも、それなら……どうしてお見合いなんて』
『ああ』
雄也さんは小さく笑い、それから首を傾げた。