クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 海雪が微かに腰を揺らす。無意識だろう。だけれど確かに彼女の身体が欲情しはじめている証拠でもあった。
 首の中央で指を滑らせ、鎖骨を撫でる。その華奢な骨を愛撫し、耳ではあえて音を立てて舐め甘噛みを繰り返す。

「海雪」

 耳元で呼べば、大げさなほどにびくんと彼女が身体を揺らした。
 俺は腕をついて軽く体を起こし、まじまじと彼女の顔を覗き込む。確かに浮かぶ情欲の色に、おもわずうっとりとしてしまいそうになりながら、軽く額にキスを落とす。

 着ていたワンピースも、エプロンも、すでに乱れている。

 たまらなく欲情を誘う姿態に、こっそりと生唾を飲みこみながら、今度は鎖骨をべろりと舐めた。

 甘えた声が海雪から零れる。歯で軽く噛めば、高い声とともに彼女の手がシーツを強く握る。唇を這わせながら、首筋に鼻先を埋める。海雪の甘い匂いがする。信じられないほどいい香りだ。

 その首筋に軽くキスをして、それでは足りなくて強く吸い付く。きっと残るだろう鬱血に、俺はほんの少し独占欲が癒されるのを覚えた。

 二ヶ月。
 悪い虫がつかないようにしてやらないと――……。
 すぐに消えてしまうだろうけれど、それでも。

 俺は海雪の首の白い肌にいくつもキスの痕を残す。戸惑った瞳で海雪が俺を見て、俺はたまらなくなってその唇にむしゃぶりついた。

 独占欲で気が狂いそうだったからだ。海雪が浮気するなんて思わない。それでも、それでも、この魅力的な女性が誰かに奪われはしないかと不安なのだ。

 俺はしゅるりと海雪のエプロンのリボンを外す。それからワンピースも脱がせてしまう。

 下着姿になった海雪は、シーツに横たわり心もとなさげに胸元をおさえ、目を何度も瞬かせた。頬はこれでもかと赤く、下がる眉毛がなんとも言えないほどに煽情的で、今すぐにでも貪りたくなってしまうのをぐっと耐える。

 膝頭を必死で合わせているのが初心でたまらない。俺がその膝にキスを落とすと、海雪は微かに熱い息を吐いた。

「ご、ごめんなさい。不慣れで」

 慣れていられてたまるか。そんなの、嫉妬でおかしくなる。

「構わない」

 俺はそれだけなんとか答えて、海雪の太ももを撫であげた。

「あ、は、恥ずかしいです」

 素直な感情を吐露されて胸が高鳴る。やわやわと撫で、また膝頭に唇を押し付けながら問う。
「怖くはないか」
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