運命の人、お待ちしています!
「さっきホッシーと結構話してたな、夢咲」
「あ、うん! 友達になったよ! でも、それだけ。やっぱり誰かから勧められて頑張って好きになろうとするのはなんか違う気がしてきた。祈くんすごく良い子だし、私なんかが付き合いたいなんて烏滸がましい気がする」
「そっか」

放課後になると、和泉から早速祈くんとの事について聞かれた。

「あ、でも! 祈くん、和泉と仲良くして良いのかなって気にしてたよ! 恐れ多いって」
「俺が苦手なのかもしれないな」
「いやいや和泉苦手な奴なんてレアでしょ! 和泉超良い奴だし、みんなの人気者じゃん!」
「ホッシーくらいだな。きっと分かってんの」
「和泉?」
「夢咲、話があるんだけど」
「うん?」
「二人きりで」

えっ! 急に何⁉︎

「悩み相談とか?」
「まあ、そんなとこ。夢咲にしかこんな話出来ないから」
「全く! 和泉は周りに頼らなすぎだから! 良いよ、聞いたる! 旧図書室なら人来ないんじゃないかな?」
「ありがとう、夢咲」

和泉が私と二人っきりになりたいとかよっぽど相談したい事があるんだろうな。

「うん、全然人いなそうだし大丈夫だよ! 和泉! さあ、私に相談したまえー!」

旧図書室で私は和泉と二人きりになる。

「はぁ、ずーっと学校のバカな連中の前で爽やかみんなの理想の和泉真尋作るの疲れたわ」
「い、和泉?」
「夢咲さ、俺が超良い奴ってマジで思ってんの?」
「良い奴じゃんか! 昨日だって元カレの襲撃から助けてくれたし」
「俺が優しく諭したと思ってんの?」

あれ、いつもの爽やかさがない?

「かなり怯えた顔してるのは気になったけど」
「ああ、笑顔で脅してたからな」
「は?」
「俺はさ、学校にとって害悪となりえる人間は大抵弱み握ってんだよ」
「何言って……」
「夢咲言ってたよな? 俺に付きまとってた害悪な奴らを学校で見なくなったって」
「ああ、うん」
「あいつらがいたら俺の学校生活のノイズになっから学校から追い出した。それだけだ」
「い、い、和泉? なんかいつもと違うくない?」
「いつも? やっぱ夢咲も気付いてないのか」
「何?」
「いつもお前らが見ているみんなに優しくて頼られて正義感がある和泉真尋は作られたものだって事。みんなバカだから気づいてねぇけど」

本当の本当に和泉?
いつもみんなから慕われてる?
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