運命の人、お待ちしています!
私は急いで屋上へ。

「いた! 祈くんっ」
「えっ。夢咲さん?」
「だめだよ! 思い詰めたらだめーっ!」

私は後ろから祈くんに抱きつく。

「ゆ、ゆ、夢咲さん⁉︎」
「か、カラオケ嫌なら断っても良いから! 思い詰めないでーっ! まだ若いんだからっ」
「あの……僕はただ歌の練習をしに来ただけでして」
「えっ」
「屋上なら人もあまり来ないですし、先生に事情話してお願いして鍵をお借りしたんです」
「そ、そ、そうなの⁉︎」

私の悪いところはおせっかいだけじゃない、早とちりなとこもだった!

「もしかして僕を心配されて?」
「あ、当たり前だよ! すごく不安な顔してたし、屋上に行ったなんて聞いたら……」
「すみません。実はカラオケが初めてでして」
「えっ」
「うちは家族仲が特別良いわけではないですし、友達もいないので機会が無かったと言いますか」
「それで練習を?」
「流行りの曲を調べてひたすら歌ってみたんですが、難しいですね。僕、音楽は普段クラシックくらいしから聴きませんし」

祈くんって確かに静かな曲しか聴かなそうだもんね。

「ならさ、私と一緒に歌おうよ!」
「えっ?」
「言ったでしょ? 私、歌うの大好きだから。祈くんも歌いやすい曲決めて一緒に歌おうよ!」
「夢咲さん……」
「初めての事が怖いのは仕方ないよ。ならさ、誰かと一緒にやったらいいんじゃないかな?」
「じゃあ夢咲さんと一緒に歌います」
「うん! あ、辛くなったら本当途中で帰って良いからね」
「夢咲さんは本当に優しいですね」
「うざくてごめんね。おせっかいだよねー! だから振られがちなのかもっ」

尽くす女すぎて!

「夢咲さんを振る方々が見る目無いだけで、僕は人の為に何か出来る人素敵だと思いますよ」
「初めて肯定された!」
「えっ?」
「周りからはさ、愛花が見る目無いからダメなんだーって言われがちでさ。けちょんけちょんに言われるんだよね」

真凜達にも親にも……ましてやあの和泉まで!

「夢咲さんはとてもお優しいのでどんな人も受け入れてしまう懐の深さがあるのかと。それってなかなか出来ない事ですよ」
「なんか照れるなぁ!」
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