運命の人、お待ちしています!
やっぱり和泉が怖いんだ、祈くん!

和泉、もうやめたげて!

「和泉ー、私はー?」
「夢咲すげー面白かったよ。やっぱりカラオケといえば夢咲の大熱唱だよな」

すげー面白い=すげーバカ

和泉真尋めーっ!

「星詠くんって和泉くんと結構仲良いんだね」
「ならあの悪い噂もただの噂だったのかな。関わるの怖かったけど……」
「昨日の自己紹介の時も和泉くん庇ってたよね」

和泉が祈くんの頭を優しくたくさん撫でてるのってそういう事か。

触れたら災難が降りかかるなんて噂もあったし、祈くん。

あいつ、クラスの皆に祈くんが大丈夫って分からせる為にやってる……?

そうだ、和泉の言動一つでクラスの皆の気持ちが変わる。

みんなあの何様俺様和泉様の手のひらの上だから。

「いず星って事……?」
「萌えの波動を感じる。和泉くんと星詠くんありだ」

あと漫研の子達も和泉と祈くんを見てなんか何かに目覚めたっぽい。

盛り上がりに盛り上がったから良いけど、やっぱり和泉に良いとこ取りされた気がする!

昨日の自己紹介の時同様!

でも祈くんがクラスの皆から怖がられなくなるなら良いか。

「じゃああいきゃん! うちは彼氏と会うから」
「い、今から⁉︎」
「毎日会わないと寂しくてお互い死んじゃうから!」
「お前らはうさぎか!」
「まあまあ、例の話進めておきますゆえ」
「大学生との合コンね! なら許す!」

カラオケ大会は3時間程で終わった。

もう夜だぁ。

真凜、結局部活で疲れたって来なかったし。

「夢咲さん、お疲れ様です」
「あ、祈くん」

祈くんは笑顔で私に話しかけてきた。

良かった、笑ってる!

「あの、ありがとうございました。僕、初めて学校を楽しい場所だって思えました」
「そっか。なら良かった!」
「ずっと学校は怖い場所でしたから」
「これからは私が祈くんに学校楽しい場所って教えるからね」
「僕、夢咲さんと同じクラスになれて良かったです」
「私も! またカラオケ行こうよ! レパートリー増やしてさ! 私ら良いコンビだったし!」
「は、はい」

しかし、歌いすぎて喉が痛いなぁ。

タカちゃんと私ばっか曲入れてたもんね、最終的に。

女子は大半来たけど、男子は半分くらいしか参加してなかったし。

「夢咲さん、こちらどうぞ」
「へ?」
「たくさん歌って喉疲れたでしょうから」

祈くんは私にのど飴を手渡した。
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