運命の人、お待ちしています!
「ありがとう! ちょうど喉痛いって思ってたから」
「たくさん盛り上げてましたもんね」
「私、みんなが楽しいって顔してるの見るの大好きだから」
「だから夢咲さんの周りはオレンジ色のオーラなんですね」
「私、オーラオレンジなんだ!」
「はい。クラスでは一番明るいオレンジ色です」
「逆にクラスで一番黒い人って?」
「そ、それは……」

もしかして……?

「あ、夢咲とホッシー! まだいたんだ」
「和泉!」
「カラオケで友達が働いてたから話し込んじゃってさ。いつの間にかタカ達帰ってるし、みんな帰ったかと」
「ねぇ、祈くん……私、分かっちゃったんだけど」
「えっ」
「オーラが真っ黒な人」
「何? 何の話かな?」
「そ、そろそろ帰ろっか! 私、お腹空いた! ラーメン食べたい! 祈くん、時間大丈夫?」
「あ、そうですね。こんな時間……」

うちは親が帰り遅いし、あんまうるさくないけど。

「俺もお腹空いたし、付き合うよ? 夢咲」
「えっ」
「今日は長時間遊んで疲れちゃったからさ」

まあ、朝から晩まで自分を偽ってるんだもんな。
和泉の場合。

「や、やっぱり僕も行きます。お腹空きましたし」
「祈くんも?」
「ホッシー本当に大丈夫? 親うるさいって言ってなかった?」
「はい。今日はどちらにせよテレビの収録で父の帰り遅いですから」

さすがスーパー占い師パパ!

「なら一緒に行こうね、ホッシー! やった、ホッシーも一緒だ!」
「ねぇ、和泉。それやめたら?」
「それって?」
「疲れたんでしょ。上辺の和泉やり続けんの。祈くんは和泉の本性気付いてるんだし……」
「やだなぁ。何? 本性って」

まだ誤魔化すか、この男。

「あの……僕は和泉さんに無理して欲しくないです」
「無理って?」
「ず、ずっと演じるのは根気のいる事で大変な事でしょうから。僕は和泉さんが本性出しても引きません! だって和泉さんは僕に触れるの躊躇いませんでしたから」

ああ、さっきの頭撫で撫でか。

「お前……俺にびびり散らかしてたくせに」
「い、い、和泉さん⁉︎」
「お前が本性出せって言ったんだろうが。あぁ、疲れた! なげぇんだよ、カラオケ。ずっと笑顔作るこっちの身にもなれっての」

出た、ブラック和泉。
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