運命の人、お待ちしています!
和泉と私は駅に着くと、同じ電車に乗り込む。

席が空いていたので私と和泉は座る事に。

「ああ、くっそ疲れた。お前、肩貸せよ」
「ちょ、ちょっと!」

和泉は私の肩に寄りかかる。

「某高級住宅街がある駅に着いたら起こせ」
「ストレートに駅名言えっ。いちいち腹立つ奴」
「うるせ」

でも、カラオケで私とタカちゃんよりもずっとずっと頑張ってたのは和泉だよね。

参加者リスト記入して回ってたし。

ドリンクが足りない子いたら頼んであげたり、慣れてない祈くんに気遣ったり、ひたすら盛り上げたり、たくさん曲入れたり、たくさんの人と話してたし。

「和泉、お疲れ様。大変よく頑張りましたー」

私は和泉の頭を優しく撫でる。

「そ、そういうのやめろ。キモい」
「人がせっかく励ましてんだぞー?」
「寝るっ。黙っとけ」
「可愛くない奴ー」

私だって寝たいのにっ。

「はぁ、いい加減……俺に気付けよ」
「は? 何て?」
「夢咲はバカって言っただけ」
「なっ⁉︎」
「おやすみー」

友達とはいえ、私の肩に寄っかかってくるとは。

和泉は私に心を許してくれてるって事?

本性も明かしてくれたし。

和泉の香水の匂いが距離の近さを感じさせてくる。

和泉にドキドキ……なんてしないもん。

そう、疲れたから動悸激しいだけ!

和泉になんかドキドキしてやんないもん!

「和泉ーっ、着いたよ?」

和泉の最寄駅に着き、和泉に声をかけるも爆睡している。

どうしよう、全然起きない!

「わ、私の最寄駅に着いちゃった」
「ん……よく寝た」
「ちょっと! 今起きるわけ⁉︎」
「あれ、俺乗り過ごしたか」
「たくさん声かけたんだけどー」
「夢咲んちある駅じゃん」
「そうだよっ」
「ついでだし、送ってくわ。眠気覚ましたいしな」
「さっさと起きろっての」

よっぽど疲れてたのかなぁ。

でも和泉よりたくさん歌って疲れたの、私だけど!

「何拗ねた顔してんだよ」
「私だって眠たくって仕方なかったのに」
「良いじゃん。貴重な俺の寝顔が見られたんだ、喜べ」
「まあ確かに和泉が学校で寝てる姿見た事ないな」
「寝顔晒しただけで盗撮されて写真売買されっからな」
「大変ですねぇ、モテ男さんは」
「つーか、俺どこでも寝られるタイプじゃねぇし。自分が落ち着く場所でしか寝ない」
「猫か、お前は」

和泉って上辺の姿でいる事を徹底してるし、本当ーに警戒心が強いんだろうな。

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