運命の人、お待ちしています!
「あのさ、友達に相談受けたから二人にも意見聞きたいんだけど」
「何ー? あいきゃん」
「恋愛の話?」
「ず、ずっと男友達だった子に突然キスされたらしくってさ。それってどういう事だと思う?」

私は二人に思い切って相談してみた。

もちろん自分の事ではない事として。

「あー、それ! ちょうど真凜に借りた漫画にあったよね」
「うん。愛花にはこれから回すつもりだったけど」
「漫画⁉︎」
「幼馴染の男子が実はずっと主人公好きで、痺れを切らしてキスをするって話」
「主人公が他の男子といい感じになりまくるから焦ってってやつだよねー!」
「当て馬男子ってなんか惹かれるのよね」
「リアルでそれされたらぶちキレるけどねー!」
「でも、男子って気軽にキスするんじゃないの?」
「人によるでしょう。大体今迄男友達だったのにってとこがネック」
「とりあえず愛花にこれ貸すから」

私は真凜から少女漫画を渡される。

「読んでみるね」
「でも、その友達もあいきゃんも鈍いよねー!」
「普通に考えたら分かる事なのに」
「う、うっさい!」

いやいや、和泉だし!

女の子選び放題、常にビュッフェスタイルの和泉だよ⁉︎

こんなごく普通の女子高生である私を好きとかありえないから!

「というわけで体育祭の二人三脚のペアはこれで決まりとする」
「和泉くんと一緒になりたかったぁ!」
「マジ今から背伸ばしたいー!」

今日のホームルームは体育祭の競技決め。

全員参加である二人三脚は身長が近い男女で行われる。

「よろしくな、夢咲」
「ほ、他の子に言って代わってもら……」
「他の女の子は俺を意識して上手く走れないだろうからさ。勝つためにはこれが一番だと思うよ」

こいつっ!

今日だけ自分の身長が和泉とそんなに変わらない事を恨んだ。

よりにもよって和泉とペアになるなんて!

「祈くーん! 祈くんと一緒が良かったよ!」
「ごめんなさい。今から背を伸ばせれば良かったのですが」
「スピリチュアルパワーで何とか!」
「それはさすがに難しいですね」
「だよねーっ」

私って不運すぎんか?

「で、でも……夢咲さんとペアでしたらご迷惑を」
「そんな事!」
「僕、運動は苦手な方ですし……それにきっと意識してしまいます」
「私に意識する事ある⁉︎ 私だよ⁉︎」
「僕は……します」
「そ、そうなんだ」

まあ、祈くんは女子慣れしてないんだもんね。
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