噛んで、DESIRE



「ん、班決め?」


目をぱちくりさせる吾妻くんは、そのまま髪をかきあげて首を傾げた。

彼のその様子に愕然とした三原くんは、慌てて同じことを説明する。


「ぜんぜん聞いてないな……?! 校外学習の班のこと! 俺と一緒になろうぜって話!」


HRの前の休み時間に熟睡していたのだろう。

吾妻くんは事態をあまり理解していない表情で曖昧にうなずいた。


「ああ、うん」

「うん……?! え、俺でいいの?!」


「え、だって、誘ってくれたじゃん」

「マジ?! 吾妻と同じ班! すげえ!」


「いや何が」



小躍りする三原くんと、苦笑する吾妻くん。

なんだか楽しそうなふたりのやりとりに、ほかに囲んでいた男の子たちが抗議する。


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