噛んで、DESIRE
……近い。どうしよう、熱い、甘い。
ただ目を見開くことしかできないわたしを妖艶に捉えて、彼はさらに距離を詰めてきて。
わたしの唇の端ギリギリに、キスを落とした。
彼の端正な顔が離れていくのをスローモーションのように眺め、じわじわと現実味を帯びてくる。
「……やべ、あぶな」
何かを低く呟いた吾妻くんは、ほとんどくっ付いていたわたしの肩を掴んでベリッと剥がした。
適切な距離を保って、ようやく頭が回る。
……いま、キス、しそうになった、よね。
ギリギリだったけれど、一歩まちがえればきっと触れ合っていた。
ぼーっとフリーズすることしか出来なくなったわたしの頭に、吾妻くんは大きな手をぽんっと乗せた。