噛んで、DESIRE
たしかに違和感はないだろう。
でも、平和を望むわたしからすれば、避けられる危機は避けるに越したことはない。
彼がいくら呑気でも、わたしが慎重に行動しないと、いつかこの関係がバレてしまうかもしれない。
バレたところで何か問題があるかと言われれば、好奇の視線に晒されるくらいだけれど。
吾妻くんが良い意味でも悪い意味でもあまりにも目立つ人だから、どこまで話が膨らむかわからないから怖いのだ。
「吾妻くんはそのまえに、早く支度してください!」
「えー着替えるのめんどい」
「……置いていきますよ」
「はは。なんだかんだ一緒に行ってくれる杏莉ちゃんサイコー」
……棒読みだし。
半分呆れながらも、彼が着替え出したのを横目で確認し、わたしも自室に入って服を選ぶ。